雨の中の展覧会

美術・絵画

『成長する絵画展』

 ぼちぼち梅雨の雰囲気が出てきた感じでしょうか?
 自他共に認める〝雨男〟の自分が言うのもなんですけど、でも、雨の○○というのが自分は案外、嫌いではありません。それがどことなく寂しげで、思索にふけるには格好の、といったような場所であればあるほど、余計にいいですな。

 例えば、寺社仏閣、動物園。
 競馬場に競輪場、なんてところも悪くありません。
 屋内ですけど、博物館、美術館とかに行く道すがらも風情はあります。

 そんなこんなで、もう昨秋のことになりますが、都内で行われた展示会の思い出話を少々(その日も朝から雨が降っておりました)。

 まず最初はこちら。

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 『成長する絵画展』

 脳性まひ、肢体不自由といった障がいを抱えた若者達による、絵画を中心とした創作作品の展示会です。

 年に1、2度は展示会を開催されてるようで、この日はちょうどいいタイミングでしたので覗かせていただきました。

 独創的な「抽象画」と言っていいのでしょうか。
 アメリカのジャクソン・ポロックやなんかの画を見ると、作者の、得体の知れない怒り、に似た爆発的なエネルギーが感じられるわけですが、同じような迫力と同時に、ただひたむきな創作意欲、みたいなものも感じられました。

 作者が障がいを持っている、という背景が、そうした印象につながっているのかどうかはわかりません。できるだけ先入観のない、にごりのない目で鑑賞しよう、と思っていても、潜在的なところは何とも言えませんので。
 でも、なにかしらのエネルギーを感じさせられたことは確かです。

『MINAMATA』

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 続きましてこちら。
 水俣病をテーマにした日本を代表するカメラマン桑原史成氏の写真展『MINAMATA』です。

 映画『MINAMATA』の公開に合わせての展示会だったそうですが、それこそ桑原氏は映画でジョニー・デップが演じたカメラマン、ユージン・スミスよりも早い段階でこのテーマに取り組んでおられたはず。
 それはもちろん日本のことだから、というのはありますが、それだけご苦労も多かったであろうことは想像できます。会場におられたのですが、お客さんが多くて直接話は聞けませんでした。
 でも、作品をどうこういう以前に、その意志そのものに心打たれてしまいます。無論、作品そのものも凄いのですが…。

 そう、意志そのもの、という意味では、『成長する絵画展』の方で受けた感覚にも似てるかな、と思ったり……。

 雨の中、傘をさして2箇所の「展覧会巡り」だったわけですが、やっぱりどこか充実感がありました。定期的にやってみるのがよろしいようです。

 いやまあ、そうは申しましても、本日の夕方以降は全国的に大雨の予報。こういう日はさすがに、ほどほどに……ということで。

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