残存する天守への興味
いつ頃からか〝世界遺産〟や〝国宝〟巡りが、ひとつの趣味として定着しています。旅行とセットにして楽しめるわけですから無理もありません。
そのあたりの心理はよくわかります。
エンターテインメントに関する箱モノが好きで、各地の劇場に限らず、美術館や博物館、また競馬場は言うまでもなく、野球場を始めとしたスポーツ関連施設や、それこそ神社仏閣などを見て回ることが好きな自分としては、当たり前の感覚ですらあります。
昨今は、その対象が細分化していて、これはオタク系文化の大衆化が影響しているかと思われますが、テレビ━━特にNHKではしきりにその手の番組が作られています。
そんななかで登場してきたのが日本の〝お城巡り〟というジャンル。
ただ、私個人は、実はお城巡りのブームには、もうひとつ乗れないところがありました。子供の頃、プラモデル等で作ってましたから、自分も例に漏れず、という部分はあったのですが、それほど嵌まった記憶はありません。なのでわざわざそこに足を運ぶ、ということはしておりませんでした。はっきりとはしませんが、〝建築物〟としてあまり魅力を感じてなかったのかも。
そんな自分も〝競馬場跡〟に興味を持った頃、同時に〝城跡〟に興味をそそられるようになり、そうすると江戸時代以前に造られて現存する〝天守〟のあるお城を意識するようになりまして……。
そうした現存天主は12城、そのうち国宝指定を受けているのが5城、になります。
国宝であり日本初の世界遺産=姫路城
姫路と言えば競馬場のある町ですから、私が初めて訪れた目的は言わずもがなの競馬でした。前述した通り、それほど興味もなかったので、お城はスルー。
でも一般的には、と言うか、地元の人もやはり〝お城のある町〟で通っているでしょう。何しろ1993年に法隆寺周辺地域とともに日本で初めて世界文化遺産に登録されました。国宝指定であると同時に、世界遺産に登録されているのは姫路城だけです。
それでもなお、すぐに「行ってみよう」とはならずにいたのです。
2009年に保存修理工事が始まったことも耳にはしていましたが、初めて行ったのは、その〝平成の大修理〟の真っ最中でした。
というわけで敢えてこちらの画像を。
知らずに行って茫然と立ち尽くす間抜けオヤジを想像していただいて構いませんですよ。いやもう、本当に、行ってみて「そうだったよ~」と気づいたのですから。
しかしですね、その替わりに、と言っちゃあなんですが、上の画像の某発電施設の〝建屋〟みたいになっているところはエレベーターで上がれまして、天守の上方部分を間近で見ることができました。
その画像がこちらです。
姫路城の〝唯一無二〟感
修復を終えてお披露目された時、白さが際立っていて、それまでの姿を見慣れている人には違和感があったようですが(私もそうだったかも)、「長い年月の経過によって壁にくすみが出てきて味わい深くなるのであって、本来、落成した時はこの色だった」という専門家(?)の説明を耳にしてすんなり納得させられたものでした。
別名として〝白鷺城〟と呼ばれたり、いろいろ形容されるお城ではありますが、本当に美しい。
また、お城には〝伝説〟がつきものですが、姫路城は特に有名な〝皿屋敷伝説〟のお城ですし、伝説でも何でもなく事実として1945(昭和20)年7月の大空襲の際に、焼け野原となった市街地にありながら難を逃れ、かつてのままの姿を仰いだ市民の精神的苦痛を癒した、という話などは感動的ですらあって、有無を言わさず唯一無二的なお城のように感じられます。
皿屋敷伝説の〝お菊さんの井戸〟はもちろん、修復工事後の画像も改めて訪ねた際に撮影したいと思います。
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