旧根岸競馬場一等馬見所
2017年以来、久しぶりの再訪になりました。
前回に来た時は、根岸森林公園敷地内にある『馬の博物館』で開催されていた企画展「やまとなでしこ・女性騎手の先達と変遷」を見に来たのですが、おそらくその前年にデビューした藤田菜七子騎手にちなんで、の企画だったように思われます。
京浜東北線JR根岸駅。
改札口(一箇所:2022年現在)を出て、左手にある駅前ロータリーに向かい、バス乗り場の「2番のりば」から、横浜市営バス21、103系統のバスに乗車。
バスに乗って10分ほど。
「滝の上」という停留所を降りると、すぐ眼の前。『馬の博物館』入口脇のトキノミノル記念像越しに根岸競馬場旧スタンドこと〝旧根岸競馬場一等馬見所〟の尖塔部分が覗きます。
江戸時代の1866年(慶応2年)に根岸競馬がスタートし、1889年(明治22年)から使用したという観覧席もありましたが、1911年(明治44年)に火災で焼失。代わって建てられた木造3階建てのスタンドも、1923年(大正12年)の関東大震災に被災して半壊。新たなスタンド建設が急がれ、1929年(昭和4年)に一等馬見所が完成しました。
その後は戦前まで競馬が続けられますが、港を一望できる立地のため閉場して旧帝国海軍に売却され、戦後は米軍に接収されて、と、まさに時代の波に翻弄され、長い年月を風雪に晒されて現在にいたります。
この〝馬見所〟という表記ですけどね。明治の頃から「ばけんじょ」と呼んだのだそう。ストレートで、なかなかによろしいですね。
ま、それはひとまず置いておくとして、私はこの場所がたまらなく好きなのです。それは昭和63年頃か、もしかすると平成に入ってたかもしれませんが、とにかく今から30年以上前、初めてここに来た時に受けた朽ち果てつつある歴史建造物から受けた衝撃や、そこでの楽しかった記憶が原因であることははっきりしております。
が、それを書き始めると、別の記事のように長くなりかねず、また次回以降に回させていただければと思います。
観光名所として
さて、ではこの日はなんのための来訪だったか、と言いますと、まさにこの旧スタンドに関しての、ちょっとした有志の集まりがあってやってまいりました。いろいろな出会いを頂戴したり、たくさんの方からいろんなことを勉強させてもらったり、で、有意義な一日を過ごさせていただきました。
詳しいことはいずれ報告する機会があるかと思いますので、これもまたそちらの方で。今しばらくお待ちください。
それにしましても、春先に来たのは今回が初めて。旧競馬場の敷地跡は根岸森林公園として一般に開放されていて、横浜では桜の名所としても知られているようです。
本日のような穏やかな好天の日は、ベンチに座って軽く一杯やりながら、旧スタンドを眺めつつ、本を読んだりできたらいいよなあ、と、毎度思わされてしまいますね。無論、フラッと散歩がてらスタンドの裏側に回って、近代歴史遺構を間近に見学するのは必須です。
「馬の博物館」のある位置は、スタンドからみてちょうど右回りコースの2コーナーから3コーナーにかけての向正面。そこからコース跡に沿って4コーナーへ向かい、直線に入ったかな?というあたりに米軍施設があり、道を挟んで一般の住宅と仕切られています。
向こう側が根岸森林公園という位置関係になります。
この左手に「二等馬見所」がありました(記事冒頭の画像ですと右側)が、老朽化による管理の困難さが原因で昭和62年に解体されていて、現在の「一等馬見所」だけが残された、というわけです。
また近いうちに、少なくとも次回は5年も開けることなく、訪れることになると思います。
そう、根岸と言えば、またしても松任谷由美さん(発表当時は〝荒井由美〟名義)の名曲『海を見ていた午後』の歌詞に出てきますカフェレストラン「山手のドルフィン」に行かなかった。
こちらのお店、JR根岸駅から馬の博物館に向かうバスに乗ると、〝滝の上〟のひとつ前の停留所〝旭台〟で降りてすぐ。〝ユーミンど真ん中〟のファンでなくとも、結構有名な観光スポットになっているようですが、私どもが根岸森林公園と馬の博物館に来るのは、もっぱら競馬絡みの歴史遺構を訪ねることが目的でして、一度も行ったことがございません。
次こそは……と思っているところです。