年々注目度増す引退馬支援
世界中がコロナ禍に巻き込まれた2021年のこと。35,829,730円の寄付が集まって大きな話題となったナイスネイチャのバースデードネーションは、34歳になる2022年も4月16日から5月15日までの1カ月間、行われました。この時が通算で6回目。
旗頭的存在に
ナイスネイチャが29歳になった2017年に初めて行われ、30歳を迎えた2018年からは引退馬支援の旗頭的なイベントとして毎年行われてきました。
第1回の支援者数 48人 (2017年)
2回目以降━ 279人(2018年)
325人(2019年)
404人(2020年)
16296人(2021年)
と支援の輪が推移してきました。
2022年のテーマは再就職支援
ドネーションを行うにあたっては、毎年テーマが設定されており、2022年は〝引退馬の再就職支援〟でした。
簡単に言ってしまえば、「馬の適性に応じて引退後の居場所を探すお手伝いをする」といったイメージでしょうか。
そして引退馬協会さんの方で、そのためのプログラムを組む。
競走馬の引退理由はさまざまですが、どこかしら悪いところを抱えている馬がほとんどです。当然、まず最初に療養治療をするわけですが、これが大体6カ月から長い馬で1年はかかる。その後でようやくプログラムに参加し、性格を見定めてから、それぞれの個性に合ったリトレーニングを施すことになります。そのうえで無償で譲渡する。
こうしたプログラムにかかる費用(預託料、医療費、調教料等)のすべてを、引退馬協会さんが負担するわけですが、バースデードネーションで集まった寄付を、そのための資金にあてる、という流れになります。
爆発的な拡大
前年(2021)は16296人の支援者によって3500万円を超える寄付が集まったのは冒頭に書いた通り。その要因として引退馬協会の沼田代表理事と話した時、
「〝ウマ娘〟恐るべし」
などと笑ったものでしたが、2022年度は更に上乗せがありました。
第6回 支援者数 17155人
支援総額 54,127,293円。
とんでもない数字になりました。
そして第7回を迎えた2023年の5月のことでした。
ナイスネイチャ永眠(2023年5月30日)
ナイスネイチャ35歳のバースデードネーションは、2023年度も4月16日の誕生日から5月15日までの1カ月間で行われました。
テーマはもうひと回り対象を広めよう、ということで、
「地方競馬の重賞勝ち馬もフォスターホースに!」
というもの。
ところが、そのドネーションが終了して15日後の5月30日。
ナイスネイチャは永眠しました。
食欲が落ち、発熱から感染症が懸念される中、衰弱が進行。いわゆる〝立位〟が取れないことによる苦痛をやわらげるための処置を施してのことだったようです。
(詳細は引退馬協会さまの「渡辺牧場だより」で)
2023年度のドネーション結果は以下の通り。
第7回 支援者数 21622人(2023年)
支援総額 74,022,066円。
すべては引退馬支援活動のために
誤解されやすいのですが、上記の支援金がすべてナイスネイチャの支援に回される、というわけではありません。
引退馬協会さんが支援している馬すべての費用にあてられます。
(詳細はこちらから↓)
https://rha.or.jp/index.html
ナイスネイチャの貢献度
2017年に支援者数48人からスタートし、その輪は2021年から飛躍的に広がり始め、2023年度はついに2万人を突破。集めた総額(およそ1億8000万円くらい?)もそうですけれど、なによりも支援者が急増したことがナイスネイチャの貢献度だったか、と思われます。
改めて、多くの人に愛された馬だったなあ、と。そのことを強く思わされたのが、JRAが発行している月刊誌『優駿』の昨年の9月号の特集記事を見た時でした。
『今昔名バイブレーヤー』
このテーマで記者、ライター、編集者59人の投票でベスト100を決める、というものがあって、その堂々第1位にナイスネイチャが選出されたのでした。
今後はドネーションの在り方がどうなるのかはわかりませんが、春が来れば生誕36年。その後には命日(1周忌)もやってきます。きっと思い出して懐かしむ方々がいらっしゃるでしょうね。
自分もお別れをしていないし、フォスターホースの様子も見に行きたいしで、今年は何とかしなくてはなりません。
JRAの動きも注目
ここ数年来、引退馬支援についてはJRAでも積極的な案を打ち出していますが、2024年度からはより踏み込んだ新しい動きがあるようです。
少しでも興味を持たれた皆さんも、その入口として引退馬協会さんのホームページの方を、是非1度ご覧になってみてください。
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